183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
「そんなの駄目よ。亡くなった主人に悪いもの。世間体もあるし、遺産のことで親族と揉めるのもまっぴらごめんだわ。角を立てずに私の想いが報われる唯一の方法は、あなた方が結ばれることなのよ」

(遺産……)

お金持ちの再婚には、そういう面倒事があるようだ。

その点に関してのみ、絹代の言い分に納得するが、他は頷けない。

孫同士を結婚させて、自分たちの悲恋に終わった物語をハッピーエンドに変えようとするとは、勝手すぎるでしょう。

「もう八十をすぎた私の人生は、あと何年残されていることか。柊哉、同情してくれるなら、どうか私の最後の願いを叶えてちょうだい」

目が潤んでいるようには見えなかったが、絹代はしまったばかりのレースのハンカチを取り出して、また目頭を押さえている。

どうやら、策略家な一面もあるようだ。

真衣の焦りはまだピークに達していない。

副社長が断ってくれると信じているからだ。

けれども彼が、祖母の泣き落としに屈する気配を見せる。

普段は男らしくキリッとした眉が下がり、オロオロと絹代の肩に手をかけていた。

「泣かないでくれ……」

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