183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
真衣にはつぎはぎに見えるネクタイを外した柊哉は、それをソファに投げ置くと、横目でキッチンを見る。

睨まれても、詰問されても、真衣は少しも動じない。

脱いだエプロンをキッチンの壁のフックにかけてから、澄まし顔で柊哉に歩み寄った。

昼のアレとは、柊哉のネクタイをわざと褒め、『イタリア製一流ブランドの春の新作ですよね』と言ったことについてだろう。

困らせてやろうと思ってのことだったので、してやったりとニンマリする。

「あのくらいで動揺しなくてもいいじゃない。柊哉だって、好青年の顔を忘れて、邪魔と言いかけてたよね」

「邪魔だったからな。俺の社内での評判を落とすなと、忠告したはずだぞ」

「それは大丈夫。本当はこんなに性悪だってこと、誰にも言ってない。契約結婚の話のみ、同期の和美に教えた。昼に一緒にいた子だよ」

約束破りをサラリと暴露すれば、柊哉の目が見開かれる。

「は……!? なに勝手なことしてんだよ」

「そっちだって秘書に喋ってしまったでしょ。お互い様。和美は私の大事な友達だから、秘密は守ってくれるよ。心配しないで」

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