183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
柊哉と会話しながらも、啓介はずっと窓の外を見ている。

白いブラインドの隙間に双眼鏡の先を突っ込み、下を覗いているのだ。

「なにしてんだ?」と問えば、淡白な声で驚くことを言われる。

「お前の奥さんを見てる。浮気してるぞ」

「はっ!?」

慌てて立ち上がった柊哉は、啓介の手から双眼鏡を奪うと、同じようにしてブラインドの隙間から下を覗いた。

副社長室は最上階の七階である。

真衣を捜せば、近くの横断歩道で見つけた。

半袖ワイシャツ姿の若い男に手を引かれるようにして、片道二車線の社屋前の道路を走って渡っていた。

横断歩道を渡りきると、中道に折れてしまったので、すぐに姿は見えなくなってしまう。

「あの男、見たことあるな。営業部の奴だったか。昼休みにふたりでどこに行こうというんだ……」

柊哉の独り言に啓介が、「ランチだろ」と軽く答える。

急いでランチ場所に向かっていると推測できるが、手を繋ぐ必要はなく、柊哉は焦りと腹立たしさを感じていた。

契約結婚の条件に、最近、新たに追加した項目がある。

それは、“恋人を作らない”というものだ。

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