183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
株主総会も、帰社後の山積していた決算書類も処理し終え、帰宅したのは二十時半頃だ。

真衣への苛立ちは消えていないが、ダイニングテーブルに夕食を並べてくれている彼女を見ると、怒りにくい。

真衣はいつもと変わらない様子である。

今朝の喧嘩を引きずっていないのは予想の範疇だが、昼のメッセージアプリでのやり取りについても、何事もなかったかのように触れてこない。

夕食メニューは、柊哉が好きだと言った肉じゃがと、アスパラとベーコンの炒め物、揚げ出し豆腐にほうれん草のお浸しと、おかずが四品。ほかほかのご飯と味噌汁も、もちろんある。

ワイシャツ姿になった柊哉は、「今日もうまそうだ」と言って、テーブルに歩み寄る。

帰宅してから、これだけ作るのは大変だったろう。

真衣は意外と家庭的なようで、あり合わせの食材でパパッと美味しい料理を作ってくれる。

柊哉が褒めた時に『料理上手じゃないよ。SNS映えするようなものは作れない』と言われたことがあったが、柊哉はこういう飾らない料理の方が嬉しい。

毎日食べるものに、豪華さは不必要。

庶民的な舌なのかと聞かれたら、その通りだと答えるだろう。

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