183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
腹が満たされたせいか、それとも懐かしい寂しさに浸ったせいなのか。

なんにしろ、落ち着いて話ができそうなのはよかった。

柊哉が三人掛けの黒革のソファに腰を下ろしたら、入浴を済ませ、髪も乾かした真衣が、水色のスウェットのようなルームウェア姿で戻ってきた。

化粧を落としたせいで、二十代前半くらいに若く見える。

白い肌は陶磁器のようになめらかな艶があり、頬に触れてみたい衝動に駆られたが、理性で封じ込める。

真衣はスタスタと冷蔵庫までいって、ミネラルウォーターを出し、コップに注いでいる。

喉を潤している彼女に、柊哉は声をかける。

「こっちにきて座れ。話がある」

「いいけど……ごみ出しの話なら、しないよ。また喧嘩になるもの」

「今朝のことじゃない。昼のことだ」

「昼?」

心当たりがないといった顔で真衣は歩み寄り、ひとり掛けのソファに腰を下ろした。

柊哉は努めて冷静に、詰問調にならないよう気をつけて話す。

「真衣が営業部の男と出かけるところを、偶然見かけたんだ」

偶然……ではないが、双眼鏡で覗いていたとは言えず、そのように切り出した。

< 81 / 233 >

この作品をシェア

pagetop