【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

「僕は結婚しないって、選択もあるけどね」

 シュテルが笑った。

「そっか、私たちは家を継ぐ訳じゃないから、焦らなくても別に良いのか」

 なんだかホッとした。

「で、噂のご令嬢を庇ったのは何で? 知り合い? 青い扇の令嬢なんでしょ? 白百合のお茶会で会った?」

 シュテルが早口で質問しつつ、にっこり笑った。怖い、怖い、その目は怖い。
 自分の婚約者候補だからだろうか。

 ちなみに白百合のお茶会とは、お姉様の開催するお茶会だ。
 私もたまに呼ばれて顔を出すが、なんとも恐ろしいお茶会だ。私は蟻の群れに投げられた角砂糖のようなありさまになる。一人一人とじっくり話すなんてないけれど、名前と顔くらいはだいたい解る。

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