【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
「っていうか、そもそも名前は?」
さっきから、噂のご令嬢としか聞いていないから、誰が誰やらだ。名前もわからないのに知ってるかと聞かれても、分かりっこない。
「さすが、引きこもり侯爵様のお家柄だね」
シュテルは呆れたように笑った。
「知らないならいいよ」
「教えてよ!」
「教えない」
「なんで? 今度、白百合のお茶会で会ったら話してみるよ?」
「だから、教えないの!」
シュテルはムッツリとして言った。