【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
「君、分かってる? そのご令嬢は青い扇なんだよ? 憧れの人に話しかけられたら、憧れじゃすまなくなるかも知れないだろ」
確かにそれは一理ある。私も面倒ごとはごめんだ。
「そっか、なら聞かない。シュテルの邪魔するつもりないし」
それ以上に、人の恋路の邪魔をして、馬に蹴られるのは嫌だ。
「邪魔っていうか」
シュテルはため息をついた。
「……気にならない?」
「何が?」
「そのご令嬢だよ」
教えてくれるつもりがないのに、なんなんだろう。友達を不愉快にさせてまで知りたいことでもないし、ただの好奇心だ。
「んー、君たちが話題にするくらいの子だから見てみたいってのはあるけどね。でも、嫌なんでしょ? だったら、もういいよ。シュテルの気持ちの方が大事」
そう答えれば、シュテルは顔を赤らめて、なんとも微妙な顔をした。
なんか、最近よく見るんだよね。その微妙な顔。なんだろ。