【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
止血が終わった者を送り出す。背中のシールドに衝撃が走って振り向けば大型モンスターだ。
氷のシールドの中央にサーベルを向けて、魔力を放出する。氷の中央が盛り上がってさらに鋭い切っ先になり、そのままモンスターを貫通した。
霧散していくモンスター。
でも、なんだかおかしい。
このクラスのモンスターが、なんでこんなところにいるのだろうか。もっと中央にいるはずだった。
「わぁぁぁ!! サラマンダーだぁ!!」
「なんでこんなところに!?」
「本陣が向かってるんじゃなかったのか!?」
叫び声が響く。
ボスクラス級の炎のモンスターの出現に、周囲は恐怖に包まれる。赤々とした身体を打ち付けるサラマンダー。離れていても伝わる熱気に怯む。士官学生は軍人ではあるが、経験値も少なく強くはないのだ。
「総員退避!!」
リーダーの号令が響く。