【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
シュテルは私の隣に座った。
「僕はさ、ベルンを困らせてる?」
覗き込むようにして窺ってくる。
いきなり核心をつかれて、ビックリする。目をそらす。
「そんなことないけど……」
「嘘つき」
間髪入れずに否定される。
だけど、私も説明できないのだ。何をされたわけでもない。理由があるわけじゃない。どうして自分が困ってしまうのか、自分でも分からないのだから。
今までは平気だったのに。二人っきりで部屋に居たって。シュテルの裸を見たくらいで、色っぽいなんて思ったこともなかった。フェルゼンより白いな、とかそんなふうにしか思わなかったのに。
「なんか、……うまく言えないけど、困ってるのかな。だけど何に困ってるか良く分かんないし、シュテルに困らされてるわけじゃなくて、多分自分のせいだと……思う……から」
うつむいて目をそらして、言葉を探しながら呟くように答える。