【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

「不審な手紙ってなんですか?」
 
 マレーネ姫に問う。

「普通、わたくし宛ての手紙は侍女たちを通してから届きますの。それなのに、その手紙はなぜだか直接私室に届くのです」
 
 不安そうに眉を潜める。
 それはそうだろう。王宮の警備を抜けて、姫君の私室を特定し、誰にも見られずに手紙を置くことができるとなれば、相当の能力だ。
 私室と言えども、侍女とメイドが侍っているので今のとこの被害は手紙だけだが、エスカレートすれば拉致や暗殺なんてことも考えられる。


「呪いの類などがかけられている形跡はないのですが……内容が……」
「内容が?」
「異常なのです。『マレーネたん すはすは』と」
「は?」

 ちょっと言ってる意味が分からない。
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