【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

「いつも『マレーネたん すはすは』と書いてありますの!」

 マレーネ姫が恥ずかしそうに顔を赤らめた。

 うん、確かに恥ずかしい。声にするのも恥ずかしい。

「……え、っとそれだけ、なんですか?」
「それだけなんですの」

 マレーネ姫が涙目になる。

「気持ち悪いですね……」

 文言の意味も分からなければ、行動も理解できない。
 例えば、一番考えらるのは恋文で、自分が誰かを明かし想いを伝えたい、というなら分からないでもない。あるいは脅迫で、何らかの要求をしてくるのなら、それも理解できる。

 だがしかし。『マレーネたん すはすは』なんだそれ。不敬だぞ。
 ただただひたすら気持ちが悪い。それを伝えることに何の意味がある。ただ気持ち悪い人が居る、それだけを露呈しているだけじゃないか。誰にも何のメリットもない。変態だ。
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