【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

 視察先に到着する。ヴルツェル侯爵家では、花や薬草を栽培する農園を持っているのだ。見晴らしの良い丘に建っているヴルツェルのカントリーハウスは、由緒あるたたずまいで非常に大きい。
 馬車を降りて、いったん休憩をする。
 用意されたテーブルにつき、給仕を始める。
 マレーネ姫のテーブルの上には、先ほどまでなかった手紙が一通置かれていた。

「ひっ!」

 マレーネ姫が恐ろしさのあまり悲鳴を上げた。

「よろしいですか?」

 私はその手紙を拝借する。
 日に透かして見ても不審な点はない。呪いがかかっているような気配もなかった。
 少し離れたところで封を切る。

- マレーネたん メイドたんとなかよし おはなみたいね スンスン -

 きっもちわる!!! IQ2くらいか!

 呆然としているところにクラウトが来た。
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