【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

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 フェルゼンと私が知り合ったのはお互い五歳のころだったはずだ

 その日も、私は馬を駆っていた。

 馬に乗るのは気持ちがいい。高いところから見渡す景色は、いつもより遠くまで見渡せて、世界の広さにワクワクする。
 風のように走るから、少し遠くたって自分で確かめに行けるのだ。
 
 南の森の方から、ガラガラとした馬車の音が響いてきた。
 王都へつながる大きな道から、仕立の良い馬車がこちらへやってくる。
 四輪の大型箱馬車(ブルーアム)だ。きっと王都からのお客様なのだろう。
 私は、馬車の近くへ馬を寄せた。見覚えのある家紋を確認すれば、カーテンの奥に手を振る人が見えた。
 私も手を振り返してから、急いで家に戻る。
 我が家へのお客様の到来を、お父様に伝えなくては。

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