【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
重い目をあげて起き上がる。
部屋の中には赤い日差しが差し込んできていた。ベルンは布団にもぐってスウスウ寝息を立てている。
窓から伸びる黒い影に気が付いて目を向ける。
椅子に腰かけたプラチナブロンドが夕日を浴びて赤を反射していた。綺麗だな、ああ、妖精のようだな、なんて思う。
リーリエ様だった。何時からいたのだろう。
「あら、気が付いた?」
俺はコクリと頷いた。
「喉が渇いたでしょう? レモン水を持ってきたのよ」
そう言ってグラスに次いでくれた。グラスの中にはレモンの輪とミントの葉。口をつけてみれば、少しだけしょっぱかった。
まるで俺の涙みたいだ。