【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
「ありがとう、レモン水はここへ置いていきます。ベルンが目覚めたらあげてちょうだい」
「リーリエ様は?」
「そろそろ部屋に戻った方がよさそうね」
リーリエ様はそういうと、潜った布団からはみ出ていたベルンの頭に口づけた。あなたが無事で本当に良かったと、小さく呟いてから、静かに部屋を出て行った。
俺は布団からはみ出している青いストレートの髪を指先で梳くった。
サラサラと逃げてゆく柔らかなそれは、刈り込んだ短い俺のものとは全く違って、ドキリと心臓が跳ねた。
「おねぇさまの、ばか」
くぐもった声が布団の中から聞こえて、俺は思わずクスクスと笑った。