放課後は秘密のキスを
突然、肩にトントンという優しい衝撃が来て体が揺れた。



「指されてるよ。」



隣の席のいつも寝ている朝倉君が気だるげに教えてくれた。



「小原、早く読め~。」



『あっ、はい。
すみません。』



慌てて教科書を持って、一段落読む。



『ありがとう。』



読み終わって、眠そうな朝倉君にお礼を言う。



「別に。」



それだけ言うと朝倉君は組んだ腕を枕にして寝てしまった。



考え事してないで授業に集中しなくちゃ。



いつの間にか進んでいた板書をノートに写して、問題を解いてるうちに授業は終わった。



「涼子、ごめん。
今日は悠斗君と帰る!」



『うん、私は勉強して帰るつもりだったから大丈夫だよ。』



「ありがと!じゃね、また明日!!」



『バイバイ』



めぐちゃんと悠斗君の背中を見送って、帰る準備をする頃には教室はシーンと静まり返っていた。
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