キミの世界で一番嫌いな人。
「小鳥遊の席はあそこ、あの寝てる黒髪の隣だ」
私がこのクラスで唯一の黒髪だと思っていたけど、どうやら違った。
担任がボールペンで指差した机に突っ伏して寝ている男。
逆にわかりやすい。
ジロジロと見られる中で、言われたとおり空いている席へと。
「なんだよ、転校生ってただの真面目くんじゃねぇか」
「弱そうだしなぁ。つまんねぇ」
……悪かったなつまんなくて。
それにしても金髪が多い…。
たまに赤髪がいたり、剃髪を見つけたときなんかはびっくりした。
本当に絵に描いたようなヤンキーだらけ、不良だらけ。
「…あんた誰」
ようやく席へ向かうと、椅子を引いた音に起こしてしまった。
隣の黒髪はふぁぁ…と、欠伸をしながら私を捉える。
この人もかなり整った顔立ちしてる…。
そういえば朝にすれ違った女の子たちは、イケメンが多いって言ってたっけ。
「…たかなし、あおば」
「誰それ。なに、転校生?」
「おう」
また欠伸。
そんなに眠いなら寝ててくれて構わないのに…。
あまり目を合わせないように席に座ると、半目がちにふっと笑ってきた。
「俺は廣瀬 秋斗(ひろせ あきと)。みんなアキって呼んでる。よろしく」
「…よ、よろしく」
まさかちゃんと自己紹介してくれるとは。
もしかして友達になれそう…?