キミの世界で一番嫌いな人。
「先輩……、ごめんなさい…っ、」
言えない───…。
言わなきゃ、わかってる。
先輩からすればいきなりなんだって感じだ。
急にかけてきて泣いて、面倒極まりない後輩だ。
『だからどうしたんだよ。…そっちで何かあったのか』
「なんにも…なんにもないです…、ごめんなさい、ごめんね先輩…っ、」
『…俺はお前にはいつも謝らせてばっかだな』
違うよ先輩、少し間違えてる。
お前、じゃないよ。
お前ら、だよ。
そーいうとこだよ、先輩。
「あ、俺、ばあちゃんの手伝いしなきゃ。
…切りますね」
プーーッ、プーーッ。
一方的にも切ってしまった。
呆れたように笑う夏実ちゃんは、もう今まで知ってる子じゃない。
「どーなっても知らないから」
バタンッと、玄関が閉められて。
カラスの鳴き声が脳内に響いて、ペタンと床に座り込んで。
休み明けは地獄だ。
このまま退学するべきか、それとも。
それとも───…、
「あーあ。あのオンナ、やっぱりろくな奴じゃなかったね」
キーコー、キーコー。
まるで生きた屍のように、虚ろな瞳でブランコを漕ぐ。