キミの世界で一番嫌いな人。




「ぁぁぁぁぁ……っ、ぅぅ…っ、あぁぁぁぁーーーっ」



わんわんと、幼い子供みたいに泣いた。

どしゃ降りのなか、迷子で彷徨うみたいに。


こんなにも横なぐりの雷雨の中であれば、通り過ぎる人もいない。

ワンピースもびしょ濡れで、肌に貼り付いてる。


───そんな、公園。


ここは先輩とサッカーをした場所。

あのときに戻れたら、どんなにいいだろう。



「ぅぅぅ…っ、」



ベンチに倒れるように腰かけた。


こんなに大声で泣いたのって、久しぶりだ。

いや、初めてかな。



「ぅぅ…っ、ぁぁぁーーーっ」



子供のときだって、どんなに苦い薬を飲まされたって、手術の前だって。

ここまで声を上げたことはなかった。


アッキーには「泣き虫だよね」なんて言われてたけど。

最近ぜんぜん泣いてなかった。


もう先輩の傍にはいられない。

先輩って、呼べない。



「ごめんなさい…っ、ごめん、なさい…、」



唇にはまだ優しい感触が残っていた。

そんなものに、もっともっと溢れてしまう。




「なーに泣いてんの」




なにか悲しいことでもあった?
すごい豪雨だからって君も雨宿り?

なんて、跳ねるような音が聞こえた気がした。



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