キミの世界で一番嫌いな人。
救急隊員の慌てふためく声を聞いて、私は思わず身を乗り出していた。
ずっと掴んでいた腕がスルッと名残惜しく離れたこと、だけどそれを気にする余裕は無かった。
ごめんね……秋斗くん。
「輸血が必要なんですか…!?」
「あぁ、だがリスクがありすぎる。心臓の型番や血液の融合確率によって簡単にできるものじゃないんだ」
「私っ、過去にこの人から心臓の一部を移植してもらってるんです…!なのでたぶん私ならできます…っ!」
謝罪の先だ。
それはきっとここだって。
私はずっとずっとこれをしたかったのだ。
同じ苦しみを味わうこと、それでしか償えない。
たとえリスクだらけだったとしても、あのときの少年だってそれを背負って私に命を与えてくれたのだから。
「そうなのか…!?だったらすぐに君も来てくれ…!!」
「はい…!!」
だけど。
私の腕を掴んだ、先輩。
「や、めろ…、」
髪の毛をへばりつかせるほどの汗。
顔も青白く、血だらけの手は少し震えていた。
「お前は何もするな…、俺なら大丈夫だ……関わるなって、言っただろ…」
「でも…っ」
「いいから…!俺はそんなこと望んでねぇんだよ…、」