キミの世界で一番嫌いな人。




そのまま彼だけを乗せた救急車は、サイレンを放ちながら病院へと向かって行った。

血が付着した腕を見つめることしかできない私を置き去りに。



「青葉ちゃん、」


「…ごめんね…秋斗くん、」



病院に行かなきゃ。
コーちゃんならいろいろ知ってるはず。

今しかない。

だって明日には田舎に帰るのだから。



「わたし、行かな───」


「青葉ちゃん」



強めの声だった。

その先は言わせないように止めたもの。



「…手、洗おう」



言葉の止まった私の腕を引いて、秋斗くんは校舎へ向かった。


それとは反対に、走って消えて行く夏実ちゃん。

彼女はそのまま病院へと向かうだろう。



「秋斗くん…っ、どこに行くの…?」



中庭にも水道はあるのに。

それでも彼は何も言わず、校舎の中へ私を連れていく。


校内の手洗い場で血を落として、たどり着いた1つの教室。

2-Bの文字。



「懐かしいでしょ」



窓際の一番うしろ。

そんな席に秋斗くんは座った。


それから視線で「おいで」と言われてしまうから、自然とその隣に立つ。



「俺、藤城サンと青葉ちゃんは何か深いもので繋がってんのかなって、ずっと前から思ってた。
…それが何なのか、さっきわかったよ」



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