キミの世界で一番嫌いな人。
「青葉ちゃん、」
ズルいことなんて、ぜったい彼は言わない。
そんなこと言わない。
たとえ言ったとしても、ズルいことにすらならない。
ようやく唇は離れて、まっすぐぶつかった視線。
「青葉ちゃんは俺のカノジョでしょ。それで俺はカレシ。
だから、カレシとして言わせてもらう」
“青葉ちゃん”なんて、やっぱり慣れないよ。
だってこの場所ではいつも“チビ”とか“お前”って、“アッキー”はそう言ってくれてたから。
胸ぐらを掴まれたり、足を引っかけられたり、それはもう散々で。
“俺たち”、トモダチだったんだよ。
「───…他の男なんか見るなよ」
トーンの落とされた声。
やっぱりズルくない、ぜんぜんズルくない。
だってそんなの当たり前のことだ。
何ひとつ間違ってなんかない。
彼氏彼女って、そういうことだ。
「藤城サンに輸血したことで青葉ちゃんの身に何かあったら、俺はたぶん藤城サンを殺すだろうね」
「っ…、」
その瞬間、最低な考えが過ってしまった。