キミの世界で一番嫌いな人。
彼とはこうならないほうが良かった、なんて。
ずっとトモダチのほうが良かった、なんて。
「俺、青葉ちゃんだけは特別なんだよ。…離したくないし、離れるつもりもない」
彼と先輩の関係は確かにギスギスしたものだったけれど。
それでも私が男で、アッキーとはトモダチで、そこに先輩も混ざって。
いま思い出すと、それがいちばん楽しい関係だった。
私たちが彼氏彼女になってしまったことで、やっと解れかけていた彼と先輩の糸でさえも、またこんがらがせたんじゃないかって。
「あ、秋斗くんっ、あのね、」
「言ったでしょ、俺を好きにさせるって」
だからその先は言わないでよ───。
隠れた本心が、ほんのわずかな隙間から見えた。
「明日は一緒に水族館に行くんだよ、青葉ちゃん」
「…水族館…?」
「そう。クラゲ、好き?」
「…うん、…好き」
ふっと笑って、また優しいキスがひとつ。
「…初めて青葉ちゃんが俺に“好き”って言ってくれた」
切なそうに笑った彼を。
大切にしなきゃいけないって、思った───。