キミの世界で一番嫌いな人。
「…秋斗くん、あのカップルたちを殴ってこれる?」
「残念。俺も実は似たようなものなんだよね」
「えっ、───…っ!」
ちゅっと、暗闇の中で唇が重なった。
並んで仰向けに寝そべっている状態だから、まるでベッドみたいというか、もはやベッドなのだ。
それに暗いから周りも見えなくて、声もそこまで聞こえなくて。
そして天井は綺麗な映像。
……そう、雰囲気しかないような場所なのである。
「声、抑えてね」
「ん…っ、」
唇をなぞった舌が、ゆっくりと口内に入ってくる。
「あきと…くん…っ」
たまに光に当てられた秋斗くんの、少し半目がちに開いた目。
……なんていうか、うん、色気。
「こら、抑えてって言ってるでしょ」
いっぱいいっぱいに反応する私を愛しげに引き寄せて、腕枕をしてくれる。
とりあえずはずっと硬直状態の私。
「…もう1回いい?」
「だ、だめ…、」
「むり」
私は彼とキスをするとき、必ずぎゅっと目を閉じてしまう。
それが自分でも本当は嫌だった。
どうしてそうしてしまうの、なにを隠そうとしているの。
なにから……私は逃げているの。
でも、それ以上に優しいキスを落としてくれるから。
そんなものに甘えてしまえたならどんなにラクだろうって。
「秋斗くん、ちょっと待っててっ」
「え?」