キミの世界で一番嫌いな人。




『───…お前なんか、大嫌いだ』


『お前のことは嫌いだ、大嫌いだ』


『…嫌いだよ。俺はお前が世界で一番嫌いだ』



変なんだよ。
先輩、あのね。

先輩が言う“大嫌い”は、“大好き”に聞こえちゃうの。

そんなの、私の勝手な都合が良すぎる解釈かもしれないけれど。


だって嫌いな相手にわざわざ“嫌い”なんて、先輩はそんな面倒なことをする人じゃないから。



「…その泣いてる理由を聞きたくないって言うのはだめ?」



ポタポタと、流れてしまった。

甘くてほろ苦いなかにしょっぱさが混じってしまっていたから。


あれ、おかしいなって思って。

私……、泣いてる……。



「トモダチだったから嫌なくらい分かっちゃうんだよね俺。
…正直、そんなの分かりたくもないけど」



そうだ、だってこの人は私が先輩を好きだってことを言い当てちゃったくらいなんだから。

私はアッキーにだけはぜんぶ隠すことをしてこなかった。


それが今、こうして裏目に出てしまった。



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