キミの世界で一番嫌いな人。




「会いたかった……、お前に、会いたかったんだ」



ずっと、会いたかった───。


それはほんの11歳だった彼の気持ちも混ざってるように聞こえた。



『コーちゃん、その“ふじしろ りく”くんには会えないの?会ってお礼は言えないの…?』


『…ええ、今はまだ会えないの。でもいつか必ず会える日は来るわ』



会えたよ、コーちゃん。

私、藤城 理久くんに会えたんだって。


その人はね、

クールで無愛想なところもあるから、溶け込みにくいように見られがちだけど。



『私、お手紙かくっ!その子にいつか届くようにっ、お手紙かく…!』



でも、こんなにも優しい人だよ。

私のヒーローは優しくてすごい人だったんだよ。



「先輩…、ごめんなさい、…ごめんなさい……っ、」


「もういい。ぜんぶ、いい。お前が笑って走れてるなら、俺はそれでいい。
俺を救ってくれて───…ありがとう」



そんなの私の台詞なのに。

私だって、ずっとずっとそう言いたかったのに。



「青葉。お前のなかに俺の心臓が入ってて、俺のなかにお前の血が入ってる。
だからお前が言いたいことは…ぜんぶ分かるんだ」



先輩は今までにないくらい笑った。

ぎゅっと私を抱きしめて、何度も何度も“青葉”って呼んでくれる。


コーちゃん、
謝罪の先が何なのか、わかったよ。

コーちゃんの言ってたとおりだった。


それは、


それはね───…、








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