キミの世界で一番嫌いな人。
「お前にはいちばん会いたくなかった」
「ご、…ごめんなさい…」
それしか言えなかった。
あなたの心臓を奪ったのは間違いなく私だ。
すると先輩は「はっ」と、鼻で笑う。
「…そんなモンいらねぇんだよ。俺の目に入らずお前はのうのうと生きてれば良かったんだ」
「私は…あなたにずっと謝りたくて、」
「いらねぇっつってんだろ!!」
いつもあまり大きな声は出さない人だった。感情もそこまで顔には表さなくて。
クールで、だけど優しい人。
最初より笑ってくれるようにもなって。
「なあ、なんで俺だったんだよ。なんで俺の親父だったんだよ…?金でつれそうな馬鹿な家族だと思ったからか?」
「…お金…だったんですね…。やっぱり……」
そこをずっと知りたかった。
どうして彼だったのかと、ずっとずっと不思議でならなかった。
どこに接点があったんだろうって。
心臓を移植してくれるなんて、そんなひとなかなか居ない。
そんなリスクだらけなこと。
だから、か。
だからあの父親はお金を使ったんだ。