独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
およそ一時間で無事にオペが終了し、小田切先生とともに医局に戻る途中、通りかかったナースステーションの前で、彼を呼び止める女性の猫撫で声がした。
「あ、小田切先生~」
足を止めて振り向くと、二十代前半の若いナースの一人が駆け寄ってきた。
「今週の金曜日、脳外の先生方とナースたちとで懇親会をやらないかって話になってるんですけど……小田切先生だけまだ出欠のお返事をいただいてないので、おうかがいしたくて」
ああ、そういえばメールで誘いがあったっけ。そんなのに参加する暇があるなら試験勉強かオペの練習時間に充てたいと、私は速攻で【欠席】の返事をしておいたけど。
彼女は期待の眼差しで小田切先生を見つめ、不自然に瞬きの回数を増やしている。かと思うと、彼の隣にいる私にあからさまに〝邪魔よ〟という視線を送ってきた。
こわ~……。はいはい、いなくなりゃいいんでしょ。
迷惑な事故に巻き込まれてしまった気分で、私はスッとその場を離れる。