独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
「そうだな……行けたら行くよ」
間もなく、愛想よく返事をする小田切先生の声が聞こえた。
その適当な返事、行く気ない人の常套文句じゃん……と、冷めたことを思っていると、小田切先生が私の隣に戻ってきた。
「懇親会なんてあったんだっけ。すっかり忘れてた。愛花先生、行くの?」
「行きませんよ。私なんかが行ったら場が白けるだけです。小田切先生は行ってあげた方がいいんじゃないですか? ナースたちの士気が上がりそう」
私の言葉に、小田切先生は気まずそうに首の後ろを撫でる。
「……でもああいう場に行くと、必ず確信犯的に酔ったナースに迫られて困るからな」
「あぁ……。って、自慢ですか?」
「違う違う。俺、女性と付き合う暇があるなら少しでも新しい症例を勉強したり、オペ技術を磨く時間に充てたいと思ってるから、恋愛には興味がないんだ」
……なるほど。確かに小田切先生って、めちゃくちゃモテるのに浮いた噂はひとつも聞いたことがない。
「それならハッキリ断ればいいじゃないですか」
「愛花先生らしいな。でも、俺たちの仕事ってナースに支えてもらわなきゃ成り立たないから、あんまり冷たくするのもね」
「……八方美人」
「ははっ。そうかも」