独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する

 見上げた先の彼は、なにかを堪えているかのように眉根を寄せ、目を伏せていた。

 ……なんだか様子がおかしい。どうしよう。もしかして、今さら好きになられても迷惑とか、そんなことを思っていたら――。

「……どれだけ」

 彼がぽつりと呟き、それから顔を上げてまっすぐ私を見つめた。

「どれだけ待ってたか……その言葉を」

 感極まったように震える声。いつくしむような、優しい眼差し。

 私はこの人にちゃんと愛されているのだと一瞬で理解し、胸に熱いものがこみ上げた。

「ごめんなさい。私、いつもあなたの気持ちを察せなくて……自分の気持ちにすら鈍くて。素直になるのも下手で」

 涙を浮かべながらそう伝えると、小田切先生は「ううん」と首を横に振って、コツンと互いのおでこ同士をくっつけた。

「俺は、そんなきみだから好きになった。不器用なところも、意地っ張りなところも、全部ひっくるめて、愛おしいんだ」
「小田切先生……」

 私、どれだけ幸せ者なんだろう。こんなに丸ごと自分を受け入れてくれる相手は、きっと世界中のどこをさがしても、彼以外にはいない。

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