独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する

「ねえ、いい加減それやめない?」
「それ?」
「お互い、〝先生〟っていうの。あと、敬語も」
「あ……そうですね。ええと、じゃあ」

 承諾したはいいものの、いざ別の呼び方をしようとすると妙に緊張してしまい、声に出せなかった。

 小田切先生の下の名前が純也だとは知っているけど……純也さん、純也くん、純くん。なんだか、どれもしっくりこないような。

「そんなに悩む? 呼び捨てでいいよ別に」

 クスクス笑いながら言われて、それもそうか、と思った。

 親しい人にさん付けとかくん付けとか、あんまり私のキャラじゃないし。

「……純也」

 試しに呼んでみると、彼は子どものように嬉しそうに笑った。

 かと思えば次の瞬間には大人っぽい色香をまとった表情になって、私の耳もとに唇を寄せる。

「愛花。……ベッドに移動して、続き、しよっか」

 落ち着きを取り戻していたはずの心臓が、再び早鐘を打ち始める。

 けれどもう、断る理由はない。むしろ、お互いの想いがぴったり重なった今こそ、彼にすべてを委ねて、ひとつになりたい。

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