独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
「あのふたり、一時はすれ違ってたけど、もしかしていい感じなのかな?」
「みたいだね。蓮見先生もついに年貢の納め時か」
純也の冗談にクスッと笑いつつ、幸せそうなふたりを眺める。
蓮見先生がひと口お弁当を食べて笑顔になるたび、あの小悪魔な黒瀬さんが少女のようにはにかんでいて、なんだかこちらまで胸が甘酸っぱくなった。
暇つぶしから本気の恋に発展することもあるなんて、恋愛って奥が深いな……。
まだまだ恋愛初心者の私は、ふたりの仲睦まじい姿を見ながらそんなことを思った。
相変わらず仕事は忙しないが、穏やかな日々を過ごすこと二週間。ふと医局で手の空いた時に、脳外の長である舟木先生が私と純也を自分の席に呼び寄せた。
軟派な蓮見先生とは対照的に、渋くてダンディな風情の舟木先生が、デスクの前に並んだ私たちを一度ずつ見て、難しい顔で口を開く。
「きみたちに重要な指示がある」
あまりに重々しい口調なので、いったいどんな指示なのだろうとごくりと唾を飲んだ、その時。
「来月、ふたりで休暇を取りなさい」
「えっ?」
予想外すぎる言葉に、きょとんと目を丸くする。思わず隣に立つ純也を見上げると、彼も驚いたように目を瞬かせていた。