独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する

「そういや俺もご挨拶がまだだったな。初日にでも一緒に行こうか」
「うん。私、すごく幸せだよって、報告しなきゃ」
「そうだな。きっとふたりとも喜ぶよ」

 優しく頷いてくれる純也に微笑みを返し、「あと、もうひとつの方なんだけど」と切りだす。

「なに? 美容室で髪を切りたいとか?」
「ううん、そうじゃなくて……ほら、脳ドッグ。私も誕生日を迎えたら二十九歳になるし、そろそろ受けないとまずいタイミングかなって」

 今回の休暇を使えばわざわざ別の日に休む必要もなく、職場に迷惑もかけないだろうし。

「そうか、うっかりしてたな。確かにこのタイミングで受けた方がいい。うちの病院で予約すれば融通もきくだろう。お墓参りをずらして初日に検査する? それとも次の日?」

 早めの日程を提案してくる純也には言いづらいが、私の希望は真逆だった。

「……最終日、がいいな」

 私はキッチンに視線を落とし、ぽつりと呟いた。私だって、本当は一日でも早く検査した方がいいというのは重々わかっているけれど……。

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