独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
「純也と旅行に行って、誕生日をお祝いしてもらって。……その後じゃ、ダメかな?」
「ダメってことはないけど……早くなにもないってわかって、安心して出かけた方がいいんじゃないか?」
穏やかに私を諭そうとする純也に、私は切なく揺れる胸の内を明かした。
「でも、悪いところが見つからない保証もないでしょ? もしもなにかが見つかった場合、せっかくの休暇が全部潰れちゃうかもしれない。そう思うと、いやなの……」
自分の脳に、母や祖母の命を奪ったのと同じ病が隠れているかもしれない。その病に勝つために、自分を死なせないために、私は脳外科医を目指すことに決めた。
今自分がしていることは、その意思に反するのかもしれないけれど……好きな人と、少しでも長く楽しい休暇を過ごしたい。ただそれだけのことも、望んではいけないのかな。
「……愛花」
純也が腕に力をこめ、私を強く抱きすくめる。それから、私の頭をよしよしと撫でた。
「気持ちはわかった。万が一を考えて旅行は近場にする。最終日にちゃんと検査を受ける。それでいい?」