独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する

「純也……」
「ま、一カ月以上伸ばすんだったら反対するけど数日だからね。ただし、ちょっとでも頭痛がしたり体の不調を感じたら、すぐ報告するって約束して。あと、いくら楽しくても無理はしないこと」

 厳しい表情で釘を刺され、私も神妙に頷いた。

「はい。わかりました。主治医の小田切先生」
「ははっ。なんかすでに懐かしいな、その呼び方」

 純也が笑顔になると、途端に空気がふわっと和やかになる。そうやってさりげなく人の気持ちを軽くすることができるのは、彼の才能だと思う。

 私も、休暇の最後にきちんと脳ドッグを受けて、今度は彼の気持ちを軽くしてあげよう。

「そろそろご飯にしよっか」
「うん。食べながら、旅行どこ行くか考えよう」

 それからふたりで手分けして盛り付けと配膳をし、ダイニングテーブルにつく。

 私の作った失敗作の煮込み料理は味だけでなく見た目も微妙なのだけれど、炊飯器がふっくら焚いてくれたお米とインスタントの味噌汁でなんとかごまかし、それっぽい和の夕食になった。

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