独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する

 その一角、母と祖母が一緒に眠っているお墓の前までくると、持参した清掃用具でお墓をきれいにし、お花を供えて線香をあげた。ふたりで目を閉じ、合掌する。

 お母さん、お祖母ちゃん、あまり会いに来れなくてごめんなさい。

 報告が遅れたけれど、私、隣にいる純也と結婚しました。とても優しくて尊敬できる素敵な旦那様で、私、今すごく幸せ。

 だからどうか、私たちが温かい家庭を築くのを見守っていてね……。

 ゆっくりまぶたを開けると、少し遅れて純也も目を開け、合わせていた手を下ろした。

「長かったね。なにを伝えていたの?」
「……俺の顔って、愛花のお祖父さんの若い頃に似てますか?って聞いてみた。返事なかったけど」

 大真面目にそんなことを言う純也がおかしくて、思わず吹き出す。

「なにそれ~。あんなの、お祖父ちゃんのただのつまらないギャグなのに」
「いや、本当だったら運命的だなと思って」

 クスクス笑いながら話していると、突然私たちの間を強い風が通り抜けた。思わずギュッと目を閉じ、穿いていたフレアスカートの裾を押さえる。

 しかし風が吹いたのは一瞬だけで、辺りはすぐに静かになった。

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