独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
「……もしかして、お母さんたちかな」
風で乱れた髪を撫でつけながら、思わずお墓を見つめて呟く。
「きっとそうだ。俺たちの仲があんまりいいから、冷やかしにきたのかも」
純也に穏やかな表情で言われると、本当にそんな気がしてくるから不思議だった。きっと、ふたりが純也を認めてくれたに違いない。私は勝手にそう思い、うれしくなった。
それから、私たちは手を繋いで少し公園を散歩し、近くのカフェで遅めのランチをとって帰路についた。
帰宅してから旅行の準備を済ませ、明日のために早く休もうと、ふたりで早々にベッドに入る。
けれど、昨夜もたっぷり寝たばかりだし、気分が高揚してなかなか寝付けない。まるで遠足前の小学生だ。
「はぁ……眠れない。明日は早起きしなきゃいけないのに」
「ま、寝坊したら寝坊したでゆっくり出ればいいよ」
隣に横たわる純也がこちらを向いてそう言うが、私は絶対寝坊なんてしたくない。
「それじゃ時間がもったいないんだもん。道路が混んでるかもしれないし、できるだけ早く出たい」
「そっか。そこまで楽しみにしてくれて嬉しいよ。じゃ、今夜は俺が寝かしつけてあげよう。おいで」
微笑みながら手招きされて、布団の中でおずおず純也に体を寄せる。そして、広い胸にギュッと抱きついた。