独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
シャンプーの香りと混じった爽やかな彼の匂い。私よりも少し高い体温。規則正しい鼓動の音。それらに包まれながら大きな手に優しく髪を撫でられていると、心の底から安らいでまぶたが重くなってくる。
「眠くなってきたでしょ」
「うん……ありがと、純也」
「いいえ。お礼なら旅行中の夜にたっぷりもらうから」
意味深な甘いささやきにちょっぴりドキッとしつつも、うとうとし始めていた私は、そのまま幸せな気持ちで眠りについた。
翌朝、純也のおかげでスッキリ早起きができ、八時頃には彼の運転する車で自宅を出発した。
今日の目的地は湯河原。高速道路を使っておよそ一時間半の長いドライブだったけれど、景色を楽しんだり他愛のない話をしていたら、あっという間だった。
まずは有名な滝を見に行き、都心とは違う涼しい空気や鮮やかな新緑、滝のマイナスイオンに癒された。近くに風情のあるお茶屋さんがあったので、滝を眺められるテラス席で抹茶とお菓子をいただく。