独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
「病院では眠気ざましのコーヒーしか飲まないし、お菓子も手軽につまめる市販のものばかりだから、こうしてまったり上品なお茶とお菓子を楽しむのもいいなぁ」
サツキの花をかたどった、美しい上生菓子を少しずつ切り分けて口に運びながら、私はしみじみと和む。甘党の純也は、隣で美味しそうにぜんざいを食べている。
「そうだな。景色も最高だし、空気も美味しいし、日頃の疲れが抜けていくよ」
「今頃みんな大変かな……」
私はふと宙を見上げ、病院で働く同僚たちに思いを馳せる。
「まぁ、いつも通り忙しいんじゃないかな。でも、新たな戦力も来てくれたし大丈夫だよ」
そう言って、安心させるような笑みを向ける純也。新たな戦力というのは、つい先日、別の病院からうちの脳神経外科にやってきたドクターのことだ。
舟木先生によると、オペの技術は純也や蓮見先生に匹敵するくらい高いそうである。
私たちは彼が赴任してきたのと入れ違いですぐ休暇に入ってしまったためあまり話ができていないが、とても人当たりがよく優しそうなドクターで、子を持つパパでもあるそうだ。