独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する

「よかった。ちなみに、あと何回欲しい?」
「えっ? 何回って言われても……二十回くらい?」

 想像がつかないながらもなんとなく答えたら、純也がクスクス笑いながら私の両手首を拘束して窓に追い詰め、艶かしい声音で告げる。

「それじゃ少ないよ。……百万回、あげる」
「うそ、絶対無理――」

 あまりに現実離れした数字を茶化そうとしたら、本日二度目のキスが私の唇を塞いだ。

 一度離れたと思ったら、角度を変えてまた触れて。濡れたリップ音を立てながら、何度も唇を啄まれる。

 徐々にエスカレートしてきた彼は、やがてベッドの上で交わすような深いキスを仕掛けてきて、私は慌てた。

 まだ夕方なのに、このままじゃ流されちゃう……。

 私は彼の胸を押し返し、執拗なキスから逃れてぷはっと息をつく。

「あれ? 終わり? 百万回にはまだ遠いけど」
「も、もう大丈夫……! じゅうぶんもらったよ」
「そう? じゃ、残りはまた後でね」

 とろけるような笑顔でそう言った彼は、最後にチュッと頬にキスして、私を解放した。

 こんな素敵な旅館の、誰にも邪魔されない静かな離れで、いつもよりサービス精神旺盛な純也とふたりきりって……予想以上に甘くて幸せで、心臓が持たない……。

 私は暴れまくる心臓をなだめるため、彼に気づかれない角度で胸に手を当て、深呼吸した。

 
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