独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する

 私たちはそれから部屋に用意されていた色違いの浴衣に着替えて本館の大浴場に移動し、男湯と女湯にそれぞれ分かれて温泉を楽しんだ。

 三十分後に大浴場の近くのレトロなゲームコーナーで待ち合わせをし、ピンボールをしたりエアホッケーで対戦をしたり。器用な純也がクレーンゲームでぬいぐるみを取ってくれたりもした。

「またプレゼントもらっちゃった。すごくかわいいし、これ」

 部屋に帰る途中の廊下で、私はほくほくしながら呟く。腕には、脱力系のほんわかした顔が愛らしい、カワウソのぬいぐるみを抱っこしている。

「俺はその、ぬいぐるみを抱っこしてうれしそうな愛花がかわいい」
「……どうせ子どもっぽいって思ったんでしょ」
「全然。むしろ浴衣姿が色っぽくて、ずっと見惚れてる」
「そ、そうですか……」

 冗談を言ったつもりが真面目なトーンで返されて、かぁっと頬が熱くなった。

 それを言うなら純也の方こそ、見慣れない浴衣姿がセクシーだ。お風呂上がりでまだ半分濡れた髪は黒くつやつやとしていて、浴衣の胸もとからはちらりと、熱い胸板の一部やごつごつとした鎖骨が覗いている。

 今さらだけど、こんなカッコいい人が私の夫なんだ……。非日常の空間にいるせいか、改めてそんなふうに思い、胸がときめいた。

< 179 / 224 >

この作品をシェア

pagetop