独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
話の流れが不可解すぎて、思わず愛花と目を見合わせる。しかし、愛花もわけがわからないというふうに、眉根を寄せて首を横に振った。
「愛する人が目の前で倒れたという状況で、冷静にオペに立ち向かい成功させ、その後も献身的に早乙女先生を支える小田切先生の姿に、蓮見先生はとても感銘を受けたらしいんです。それで、医者同士でもこんな素敵な夫婦になれるなら、結婚も悪くないかもって思ったみたいで」
はにかみながら語った黒瀬さんに、「それはおめでとうざいます」と声を掛けようとした次の瞬間。
「なので、お礼にこれを差し上げようと思ったのですが、早乙女先生が恥ずかしがって要らないと」
不満げに口を尖らせた黒瀬さんが、例のチューブを俺に見せた。商品名は、以前と同じ【潤潤】だが、その脇に【ムードを盛り上げる香り成分新配合!】と煽り文句がついていた。
ムードね。前回よりはちょっと興味あるけど、俺たちにそんなものは必要ないという結論は変わらない。