独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
あの日、蓮見先生に冷たくあしらわれて自棄になっていた黒瀬さんに『小田切先生、慰めてください』と迫られ困っていた俺は、愛花と結婚したことを包み隠さず話すことにした。
当然、黒瀬さんは驚愕した。
『えっ、早乙女先生と!?』
『でも、このことは秘密ね。彼女との約束だから』
『……意外です。早乙女先生のどこに惹かれたんですか?』
興味津々に聞かれて、俺はひとつひとつ彼女の魅力を挙げていった。
『うーん……。真面目で頑張り屋のところでしょ? 初心ですぐ真っ赤になるところもだし、勝気で意地っ張りな反面脆いところもあったり、あとは顔も髪型も体型も全部――』
『も……もういいです』
たしかそんな感じで、黒瀬さんを呆れさせたんだっけ。でもそのおかげで冷静になり自分の心を見つめ直した彼女は、やっぱり蓮見先生が好きだという結論に至り、俺の前を去っていった。
「黒瀬さん、〝ウザイほどのろけられた〟って言ってたけど、いったいなんて話したの?」
愛花の声で我に返った俺は、唇の前に人差し指を立てて笑った。
「秘密」
「えー、気になる」