独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する

 口を尖らせる愛花の頭をぽんぽん叩いてはぐらかし、真面目に容態をチェックすると、彼女の病室を出た。と、ちょうどその時、ドアの前で西島と鉢合わせになった。

 俺と目が合うなりきまずそうに視線を泳がせる彼に、「愛花に会いに来たんだろ? 入れば?」とそっけなく言う。

 さすがにもう彼をライバル視はしていないが、だからって好意的な態度にもなれない。

「は、はい……」

 西島は完全に委縮した様子でぺこぺこ頭を下げたが、俺がその場から立ち去ろうとした瞬間、「あのっ」と声をあげた。 無言で立ち止まると、西島が意を決したように話しだす。

「僕、愛花さんが小田切先生と結婚してるって知っても、なかなか諦められなくて……本当はもう一度告白しようかなって考えていました。……あの日のオペを見るまでは」
「オペ……愛花の?」
「はい。あの時、周囲に少しの動揺も見せず愛花さんの命を救った小田切先生の姿……本当にカッコよくて、愛花先生が好きになるのもしょうがないやって思いました。僕なんかじゃ勝てるわけないって」

< 212 / 224 >

この作品をシェア

pagetop