独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する

 寂しげな笑みを浮かべ、西島が敗北を認めた。しかし、俺は決して動揺していなかったわけじゃないし、愛花が無事に目を覚ました時には我慢できずに涙を流したような男だ。そんなふうに言ってもらうほど、カッコよくなんてない。

「買いかぶりすぎだよ。愛花の前ではカッコ悪い部分もいっぱい見せてる。本気で愛しているからこそ、なりふり構っていられないんだ」

 西島は一瞬キョトンとして、その後じわじわと感極まったような表情になり、ぽつりと呟く。

「やっぱり、カッコいい……」

 ……なんだそりゃ。

 よくわからない反応に苦笑をこぼし、俺は「男に言われてもうれしくないよ」と言い残して、西島の前から去った。


 愛花は目立った後遺症もなく、ひと月の入院を経て、六月の上旬に退院した。今後も経過観察は欠かせないが、とりあえずは日常生活に戻れる。

 退院してすぐ仕事にも復帰したが、シフトを組む舟木先生にも相談し、当直は少なめに。それ以外にも、徹夜での勉強やハードワークは極力避け、俺たちは夫婦で規則正しい生活を心がけるようになった。

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