独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する

「俺がなにか作るから、先に風呂入ってくれば?」

 キッチンで手を洗いながらソファの愛花に声を掛けると、彼女は慌てて立ち上がる。

「え、いいよ。昨日も純也だったから、今日は私がやる」
「そういう順番とか気にしてると、余計疲れるよ。俺はまだ体力に余裕あるから、気にしないで」
「ありがとう……ごめんね」
「いいえ。ゆっくり温まってきな」

 多忙な共働き夫婦がうまくやる秘訣は、ずばりルールを決めないことだと思う。

 家事は、やれる時に、やれる方がやる。ふたりともやりたくなければ、サボって外食したり、代行サービスを利用したっていい。

 今はどうしても愛花の方が余裕がないから彼女は罪悪感を覚えるかもしれない。でも、彼女ならすぐに優秀なドクターに成長し、心にゆとりもできるだろう。

 俺としては、正直そろそろ子どもが欲しいと思っているのだが、それも愛花がもう少し自分の仕事に自信を持てるようになってからかな……。

 そんなことを思いながら、俺は冷蔵庫の中身を物色し始めた。

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