独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
どっちにしろ、やっぱり綺麗な顔だ。
そんなことを考えていたら、お盆にお茶を乗せた颯と、醤油さしと小皿を手にした父が居間にやってきた。
「こんにちは~。弟の颯です。姉がいつもお世話になっています」
そう言いながら、湯気の立つ湯呑をひとつずつテーブルに乗せていく颯の姿はまるで母親のよう。
「はじめまして、小田切です」
「うわー、マジでイケメンすね……。絶対モテるのに、なぜうちの姉ちゃんなんか?」
「ちょっと颯、失礼でしょ」
そういうなれそめ的な質問が一番困るので、即座に突っ込んで弟をたしなめた。
しかし小田切先生は、まるで事前に答えを用意していたかのごとく、スラスラと言葉を紡ぐ。
「勉強熱心で、いつも遅くまで残ってオペの練習をしているひたむきな姿や、うちの医局では一番若いのに、経験のあるドクターにも物怖じせず発言する勇敢な姿に惹かれました。あと、デスクでうたた寝をしている時のかわいい寝顔にも」
まったく、よく平然とそれらしいことを言えるものだ……。
感心と呆れの両方を抱きつつ、最後のひと言だけ妙に引っ掛かり、彼に尋ねる。