独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
初めての体験にくらくらしていると、静かに彼の唇は離れていった。それでもまだ至近距離にいる彼が、甘い声でささやく。
「……伝わった?」
今のキスはきっと、〝彼が誰に惚れたのか〟という問いに対する答えなのだろう。
信じられないが、そういうことのようだ。つまり、小田切先生は、私を――。
改めて意識すると、胸の辺りにきゅうっと縮むような痛みを覚え、その初めての感覚に戸惑う。
なにこれ。苦しい。私、ヤバい心臓疾患じゃないの? 顔も熱いし、変な汗まで出る……!
「はは、愛花先生、耳まで真っ赤」
抱きしめられたままおかしそうに指摘され、ますます恥ずかしくなる。
「かっ。帰らせてください……!」
「やだよ。まだ玄関にしか連れ込んでない。せっかく来たんだから中に入って? いきなり取って食ったりしないから」
いきなりキスはしたくせに……?
正直彼の言葉はまったく信用できないが、「お願い」と甘えたような声でお願いされると、どうしてか拒否できなかった。
私は無言でこくんと頷き、大人しく彼の後ろをついていく。