独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
自分の胸をトントン、と指さしながらそう伝えると、愛花先生は大きく目を見張ってジッと俺を見る。
そんなに見つめられたら、俺だって動揺するんだけど……。
鼓動の乱れを悟られぬよう、真顔のまま彼女の反応を待っていると。
「……全然、参考になりません」
「え」
結構、情熱的な愛の言葉を贈ったつもりだったんだけどな。
肩を落として落胆する俺を無視して、愛花先生はどこか不満げに続ける。
「小田切先生は、たとえそれで私が泣くことになっても構わないってことですよね?」
「そういう言い方をするとアレだけど……まぁ、そうだね。正直、散々泣いて落ち込んで、愛花先生が他の誰にも恋できなくなればいいって思う」
「……なんて自分勝手な」
顔をしかめる彼女を、苦笑しながら諭す。
「もちろん、そんなことは無理だってわかってるよ。俺が死んでも、愛花先生の人生は動いてる。いずれ、他の誰かに愛される将来もあるかもしれない。それでも、きみの中に俺の生きた証を、できるだけ残したいんだ」
仮定の話なのに、つい熱く語ってしまった。別に今すぐ死ぬわけじゃなくても、彼女の中に俺の存在をもっともっと広げたいと思っているのは、本当のことだから。